『2001年宇宙の旅』
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: Blu-ray
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たまには趣味の話でも。
ようやくブルーレイ視聴環境が整ったので、以前衝動買いしていた『2001年宇宙の旅』を息抜きがてら観ました。以下感想。
全体の構成としては、正直言って、「人類の曙」はともかく「スターチャイルド」周りは映画を観ただけだとさっぱり意味がわからないのですが……。
まあよくわからない部分は小説版で補完しましょう。
- 作者: アーサー・C.クラーク,Arthur C. Clark,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1993/02
- メディア: 文庫
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個人的には、やはりHAL9000が反乱を起こす場面が面白い。おそらく、登場人物の中でHALが一番人間くさいからだと思います。
特に、船長であるボーマンが、HALの機能を停止させるためにロジック・メモリー・センターに近づいていくときに命乞いを始める場面などは非常に秀逸です。自分の有用性を示しながらボーマンに翻意を促すのですが、その様子は他のどの登場人物よりも人間じみてます。それまでは自分がミスをすることを認めようとしなかったのに、この場面で「私は正常な状態ではなかった」「ミスを犯しました」と言い出すのもそのことを如実に表しています。
そして、HALが「デイジー・ベル」を歌う有名な場面。ここは映画版と小説版で描写にかなりの違いがあり、映画版ではボーマンがHALに対して「[歌を]聞かせてくれ」と応答しています。それまでのHALの命乞いにまったく反応を示さなかったボーマンがこのような応答をしたことに疑問を抱いたのですが、小説版を参照すると、この時のボーマンの心情描写がなされています。
思ったより面倒だぞ、とボーマンは思った。おれはいま、おれの宇宙で唯一意識を持った生き物を破壊しようとしているのだ。だが船の支配権がほしいなら、やりとげなければならない。
[中略]
それ以上聞いてはいられなかった。ボーマンは最後のユニットをひっこぬき、ハルは永久に沈黙した。(pp. 224-225)
おそらくはこういったためらいから、ボーマンにHALに対する同情心のようなものが芽生え、それが上述の応答に繋がったのではないかと思います。もちろん、映画版ではナレーションが入るわけでもないのでまったくの想像なのですが。
色々言ってきましたが、兎にも角にも面白いのは間違いありません。何度でも鑑賞に耐える作品です。小説版の方も久しぶりに読みなおそうという気になってきました。
安価ですし、サウンドトラックの方もぜひ。
- アーティスト: サントラ
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2010/06/02
- メディア: CD
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